ネットショップの出荷を外に任せようと発送代行の会社を調べると、どの会社も「小ロット対応」「スピード出荷」と似たことを書いていて、違いが分かりにくいかもしれません。この記事は、初めて発送代行を使う、または今の委託先を見直したいEC事業者に向けて、比べる順番と見積もりで聞くことをまとめたものです。
結論から書くと、まず扱えるかどうか(温度帯・商材)、次に規模が合うか(出荷件数・最低料金)、その次に必要な作業とシステム連携を確かめ、最後に月の総額で比べる順番が、手戻りの少ない進め方です。
最初に、商品を扱えるかで候補を絞る
料金を比べる前に、自社の商品を扱える会社かどうかを確かめます。扱えない会社は、どれだけ安くても候補から外れるためです。
最初に見るのは温度帯です。常温だけの会社が多く、冷蔵・冷凍まで扱える会社は限られます。ドコロジに掲載している発送代行・EC物流の163社のうち、公式サイトで冷蔵の取り扱いを確認できたのは38社、冷凍は29社でした(1970年1月時点)。冷蔵・冷凍の商品なら、温度帯で絞るだけで候補がかなり減ります。
次に、商品そのものに扱いの条件がないかを考えます。食品・化粧品・アパレル・壊れやすいもの・大きいものは、保管や梱包の仕方が変わるので、同じ商材を扱った経験があるかを見ておくと安心です。会社ごとに扱えない商品を決めていることもあるので、公式サイトの「取り扱えない商品」の案内もあわせて読んでおきます。
(温度帯は公式サイトに書いてある会社だけを数えています。書いていなくても対応している会社はあるかもしれません)
食品・化粧品・医薬品のように、保管や出荷に許可が関わる商品は、その会社が必要な許可を持っているかも確かめます。食品なら、食品衛生法で営業許可や営業届出の仕組みが決まっていて、2021年の改正で対象の業種が見直されています(厚生労働省「食品衛生法の改正について」)。許可の要否は商品の種類や作業の中身で変わるので、自社の商品にどの許可が要るかは、所管の役所や保健所の情報で確かめておくと話が早くなります。(委託先の公式サイトに許可の種類まで書いてある会社は多くないので、問い合わせのときに聞いておくのが確実です)
次に、自社の規模が合うかを確かめる
扱える会社が見つかったら、出荷の規模が合うかを見ます。発送代行には、月に数件から受ける会社もあれば、まとまった件数を前提にしている会社もあります。
確かめたいのは、月に何件から受けるか(最低出荷件数)と、出荷がなくても毎月かかる基本料(固定費)の有無、始めるときにかかる初期費用の3つです。
出荷が月100件より少ない段階では、固定費の有無が月の総額を大きく左右します。固定費のかからない従量課金の会社から当たるのがよいでしょう。逆に出荷が多い場合は、固定費があっても1件あたりの単価が下がる契約のほうが、総額は安くなることがあります。
(最低出荷件数や固定費を公式サイトに書いていない会社も多く、問い合わせで確かめることになります)
必要な作業に対応しているかを見る
規模が合ったら、出荷のときに必要な作業を並べて、対応しているかを見ます。ピッキング・梱包・発送はどの会社も受けますが、その先の作業は会社によって差があります。
| 作業 | こんなショップで必要になる |
|---|---|
| ギフト包装 | 贈答品・季節の行事向けの商品を扱う |
| 同梱・チラシ封入 | 納品書・チラシ・サンプルを入れたい |
| 返品対応 | アパレルなど、返品・交換が多い |
| 当日出荷 | 注文日に出荷したい |
| 定期便対応 | 定期通販(サブスク)をしている |
| 土日出荷 | 週末の注文もすぐ出したい |
ドコロジに掲載している発送代行・EC物流の163社について、公式サイトで対応を確認できた作業を数えると、次のようになります(1970年1月時点)。
(公式サイトに書いてある会社だけを数えています。書いていなくても、頼めば受けてもらえる会社はあるかもしれません)
当日出荷は、何時までの注文をその日に出すか(締め時間)も確かめます。締め時間が早いと、午後の注文は翌日の出荷になります。
ショップのシステムとつながるかを確かめる
注文のデータを毎回手作業で渡していると、件数が増えたときに手間と入力の間違いが増えます。使っているカートやモール(Shopify・楽天市場・BASEなど)と、注文や在庫のデータをつなげられるかを確かめます。
つなぎ方は、カートと直接つなぐ方法、受注管理システム(複数の店舗の注文をまとめて扱うシステム)を通す方法、CSVファイルで受け渡す方法などがあります。どの方法になるかで、手間と追加の費用が変わります。つなぎ方ごとの違いと確かめ方は、Shopify・楽天とつなげる発送代行の選び方にまとめています。
候補が絞れたら、月の総額で比べる
条件の合う会社が2〜3社に絞れたら、見積もりを取って比べます。このとき、保管料や1件あたりの出荷料だけで比べると、総額を見誤ることがあります。
発送代行の費用は、次のような費目に分かれています。
- 初期費用
- 月額の固定費(基本料・システム利用料)
- 保管料
- 入庫料
- 出荷1件ごとの作業料(ピッキング・梱包)
- 資材費(段ボール・緩衝材)
- 運賃
- 流通加工やギフト包装などの追加作業の料金
会社によって、どの費目を1件の料金にまとめているかが違います。比べるときは、自社の月の出荷件数と商品のサイズを当てはめて、月の総額を出してもらうと、同じ条件で並べられます。
見積もりで聞いておきたいこと
見積もりや問い合わせのときに、次の質問を一緒に送ると、後から条件の食い違いが起きにくくなります。
見積もりで聞くことの例
- 月◯件・◯サイズ中心・常温の場合、月の総額はいくらか(費目ごとの内訳も)
- 最低出荷件数や、最低の月額料金はあるか
- 保管料は何の単位(棚・パレット・容積など)で、いつの時点の在庫で数えるか
- 運賃は全国一律か、地域やサイズで変わるか
- 出荷の締め時間は何時か。土日・祝日は出荷するか
- 使っているカート・モールとつなげられるか。つなぐ費用はかかるか
- 誤出荷や破損があったとき、どう対応するか
- 契約期間の縛りや、解約するときの決まりはあるか
- 始めるまでに、どのくらいの期間がかかるか
全部をそろえて聞く必要はありません。自社にとって大事なものから3〜4つ選ぶだけでも、各社の答えを比べやすくなります。
問い合わせの前に、自社の出荷件数や商品の情報をまとめておくと、見積もりが早く正確になります。何をそろえればよいかは、発送代行・倉庫・3PLの違いの記事の最後にも一覧があります。
最後に
発送代行は、扱えるか(温度帯・商材)、規模が合うか(最低出荷件数・固定費)、必要な作業とシステム連携に対応しているか、の順に絞り込み、最後に月の総額で比べると、手戻りが少なくなります。料金表の安さから入ると、あとで温度帯や連携で合わないと分かることがあるので、条件で候補を減らしてから見積もりを取るのがよいでしょう。
ドコロジでは、発送代行・EC物流に対応する会社を163社掲載しています(1970年1月時点)。一覧ではエリア・温度帯・得意な商材・規模の条件で絞り込めます。対応作業やシステム連携は各社のページに載せているので、気になる会社をハートで保存すると、条件を横に並べて比べられます。
エリアや商材から順に選びたいときは、条件から企業を探すと、対応できる会社の数を見ながら絞り込めます。
